IT企業から内装業へ大学卒業後、システム開発企業を経て、2003年に仲間3人とWebサイト制作やシステム開発を行うUNIWORX(ユニワークス)という会社を設立しました。創業同時はオーナー社長が別にいたのですが、設立7年後に、思い切って株式を買い取り社長に就任しました。その間、2社をM&Aと事業買収し、会社の規模も大きくなった頃、ご縁があって、2020年1月に図書印刷株式会社(凸版グループ)にM&Aの機会をいただいたのです。思いがけず、私は凸版グループのデジタルマーケティングの立ち位置として、4年半社長をさせていただくことになりました。図書印刷とのデューデリ最中に図書印刷が凸版印刷の完全子会社になり、図書印刷と凸版印刷の2回デューデリを受ける経験もしました。その直後にコロナ……。波乱を乗り越えながら、この会社と生きていく。誰もがそう思っていたでしょうし、私自身もそう考えていました。しかし、人生は何が起こるかわからないものです。20年来のお付き合いのあった新満社長から、会社の発展のためにDX化を進めたいと相談されました。プレステージプランニングは、売上が伸びて成長し続けていますが、マンパワーで対応しているため、社内の制度や仕組みが遅れていました。大企業でさえ、デジタル人材の採用に苦労しているのに、中小企業のなかでも、特にデジタル化が遅れている企業が人材確保をするのは、至難の業。正直、このままでは危険ではないか。しかも、この現状は、業界全体が遅れていることを意味し、このままでは、ますます格差が広がり夢も希望もなくなる気がしました。しかし、見方を変えれば、チャンスかもしれません。今、改革することで、会社は大きく変わり、延いては、業界全体そのものが底上げされていく可能性があります。これは、私しかできないし、ここで断るわけにはいかないと思いました。悩み抜いた末の決断新満社長とは、私が経営者になりたての若い頃から、様々な相談にのっていただき、いろいろな経験をさせていただきました。当時から、社長がよく口にしていた「相手の立場に立って考えて行動を起こす」という言葉は、私の行動指針になりました。凸版グループの傘下に入る事で事業は安定し、グループの社員も優秀。離職も少なくなり、毎年順調に成長しています。長年、お付き合いのあるお客様とも良好な関係を築けていました。私自身も、大手企業に必要とされる事業に成長させ、M&Aで成功した社長として、周囲の方々から高く評価していただけるようになり、多くの繋がりを自然と持てるようになりました。だからこそ、周りの驚きは相当なものでした。「なぜ、UNIWORXを辞める必要があるの?」「留まってくれないと困る!」と周囲の誰もが反対しました。みんなが自分を必要としてくれているのに、私自身「本当にこれでいいのか」と悩みました。それでも、私を突き動かしたのは、あまりにDX化で遅れをとっているこの業界への危機感でした。そもそも、日本のDX化は、世界から大きく遅れをとり、格差はどんどん広がっています。中小企業に入るデジタル人材が少ないため、余計に遅れて存続できなくなる会社が増えていくことは容易に想像できます。UNIWORXが、私でなくても成長できるステージになった今だからこそ、私が次にアクセルを踏むのは、デジタルとアナログをつなぐこの場所にしよう!やらないで「やっぱり挑戦しておけばよかった」と後悔するよりも、やって上手くいかなければやり直せばいいのだから。こうして、私は2023年6月から取締役としてプレステージプランニングに加わることになりました。プレステージプランニングには可能性があるIT業の前職と内装業とでは業種が全く異なります。専門的な業界の知識については、当然1から勉強の日々ですが、前職で2つの会社の事業再生を経験した私からすると、会社のしくみは基本的に似ている部分が多いように感じます。どの業種にも共通する項目があり、どちらかというと、その会社の規模やマーケットでの立ち位置によって成長戦略や方針が変わってくると思っています。プレステージプランニングは年間5,000件もの原状回復の実績があります。しかしながら、デジタル化が進んでいないため、実績をデータにして資産にできていませんでした。プロジェクト管理するうえで、何に対してどれだけ時間がかかっているのかを分析ができておらず、どこにテコ入れをしたらよいのかも分かっていなかったのが現状です。100人規模の企業になると、いかに生産効率を上げるかが重要ですし、納得感のある人事評価制度も必要になるでしょう。そこに、畑違いのIT人材が入り、デジタルの知識とスキルが融合すれば、この会社は一段も二段も上のステージへ上がれる可能性があります。私は、前職で大手クライアントに対して、蓄積したデータを分析できる基盤作りを、嫌というほど提案してきました。目の前の情報を見れば、プレステージプランニングのクライアントである管理会社様が何をしていきたいのかを想像できる点は、私の強みでもあり、当社の成長に大いに貢献できる部分だと自負しています。日本の中小企業、特に内装業では、DX化が遅れています。デジタル技術に精通した技術者は少なくDX化のハードルは上がっており、できる企業とできない企業で格差が広がっています。職人の高齢化の問題や2050年に向けて確実に直面するカーボンニュートラルと脱炭素化の課題など、未来を予測し社会のニーズを迅速にキャッチアップする、未来型の経営力が求められるし、そこにはDXの知識とスキルが不可欠です。DX化は省人化や技術継承、人事評価制度など、あらゆる場面で力を発揮します。この業界の実績のある当社が率先してDX化を進めれば、この業界を牽引していく存在になれる可能性は十分にあると思っています。アナログからDX化に最短ルートはないプレステージプランニングに入り、DX化を推進するなかで、アナログからデジタルへの移行は想像以上に忍耐が必要であることを学びました。アナログな現場でのDX改革は大きな変化を伴います。メンバーにとって、最初は手間が増えるように感じることが多く、「なんでこんなことをしないといけないの?」と反発を生むこともあります。私にとっては当たり前のことを、ゼロから説明するのは根気が必要です。しかし、そこに最短ルートはありませんし、私を信じていただき、時間はかかっても丁寧に教えていくしかかりません。やがてうまく回り始めて、DX化の成果が目に見えるようになると、自分たちが次にとるべき行動が分かるようになります。改善点も見えてくるし、人に仕事をお願いするときも、「この時間でこれだけのことをやってほしい」と、数字で明確に示せるようになり、生産性が格段に上がります。これが達成できたとき、プレステージプランニングはさらなる発展を目指せると思うのです。自分で自分の人生を選択できる力を身に着けてほしいこれから更にAIの技術が加速し、世の中が大きく変わります。ミスを減らし、効率化することはDX化によって解決できます。それによって空いた時間を当社経営理念である“相手の立場に立って考えて行動を起こす”時間に使って欲しいと思っています。これができる人材になってほしいし、その環境を作っていくのが私の役割です。コロナ禍になり、テレワーク中心だった前職とは真逆のプレステージプランニングに来て思ったのは、対面でのコミュニケーションの重要性でした。効率化のことだけを考えればAIに任せればいいと思いますが、人間が感情の生き物である以上、真のイノベーションは対人とのコミュニケーションなしには生まれません。ですから、私はこの会社の皆さんには、コミュニケーションの中で人格を磨き、デジタルを通して多くの体験をしていただきたいと思っています。そして、その機会を与えるのも私の重要な役目だと認識しています。デジタルで業務を効率化し、自発的、かつスムーズに仕事に取り組めるようになれば、その分、いろいろなことが力になります。キャパシティが広がれば、自分の人生を自分で選択できるようになるでしょう。メンバーが成長すれば会社も成長し、その先には業界自体がより良い方向へ引き上がっていく……。そんな未来があると思うのです。内装業のリーディングカンパニーを目指してここ数年は新築マンションより、中古マンションの市場が活発になりました。それに付随して、リフォームやリノベーションによって価値を上げる流れが生じており、内装業に追い風が吹いています。顧客のニーズに応じた内装工事には、必ず人が介在するため、アナログ部分は外せません。プレステージプランニングをこの業界のスタンダードにするのが、私の目標です。内装工事業界では工期や作業現場での生産性が課題となりますが、技術革新やDX化により、精度はもちろん、スピードも向上しますし、人員の低減も可能になります。デジタルシフトが間違いなく必要な時代。しかし、デジタル化による生産性を追求し過ぎると、これまでアナログのなかで培ってきた感覚的な価値が失われます。それにデジタル化により相手が見えなくなると「相手不在」のコミュニケーションに陥りがちです。デジタルだけですべての課題は解決しないし、デジタルだけで解決しようとしてはいけない。アナログだからこそ生まれる空気感や余白のようなものが創造性を育み、人と人との密なコミュニケーションが新しい関係を築きます。デジタルだけでも、アナログだけでもダメ。「デジタル」と「アナログ」という、相反する概念を融合することで、新しい価値を「生み出す」ことに挑戦したいと思っています。1日の大半を過ごす仕事の時間を意味のあるものに内装工事業界全体には、様々な改善の余地があり伸び代があります。プレステージプランニングには数々の実績のなかで培ってきた強い技術があり、アナログから生まれる発想力があります。さらにデジタルと融合することで、今までの常識の枠に囚われず、顧客が求める以上の価値やサービスを提供できる、全く新しい次世代の内装業になれると確信しています。当社は、新しいことにチャレンジし、成長に向かい続ける素晴らしい会社です。「知識欲」があるように、誰しも「成長したい」という欲求があるもの。1日の大半を仕事で使うのですから、この時間を意味のあるものにしたいじゃないですか。お客様やメンバーと本気で向き合い、目標に向かってやるべきことをやれば、必ず成長につながります。そのためにも、私自身がチャレンジし続けないといけません。自身もプレステージプランニングを通じて更に成長したいと思っています。